2008/10/18  (土) 

横浜開港記念会館のパネル修復 (1)

大きなキャンバスに向かい、無心に絵筆を動かす修復士。卵の黄身を使って絵の具を溶いているからテンペラ画かな? 2メートルくらいの円形の聖母子の絵を興奮状態でその絵に入り込み、絵の心に触れ、昔の絵描きと対話し…、とことん情熱を傾け、寝食を忘れて修復に没頭する・・・。
「ホーム・フォー・ザ・ホリディ」は、こういったシーンで始まる印象的な映画だった。折りしも、今日から東京映画祭が始まったので、映画のお話しをしたわけではありません。ステンドグラスの修復見学のレポートです。

 


 

先日、「修復中のステンドグラスを見学できる」と、生徒さんに誘われて(フツー逆じゃない? まっいっか…)、映画の影響もあり修復に興味がある私はさっそく手を挙げました。場所は「横浜市開港記念館」。みなとみらい線の日本大通り駅にほど近く、県庁の向かいに、赤煉瓦の建物に時計塔というひときわ目立つ建築様式なので、地元ではランドマークとされている建物です。関東大震災や戦争の被災後に修理・復元を繰り返し、私が若い時には工事中のイメージしかありませんでしたが、今は保護保存するため国の重要文化財指定もされ、再開館されています。また、このあたりは、東京美術学校(現在の芸大)を創立した岡倉天心生誕の地でもあります。

 

この日は全館見学開放の日だったので、とりあえず入口付近からガイドさんによるツアーを小学生と一緒に開始。

 

 

 

 

 

 

 

館内には大きなステンドグラスが何箇所かありますが、そのうちの2階広間のステンドグラスを地下で修復作業しています。それを見に行った訳なので、ガイドさんの説明を30分くらい聞いてから、さっさと地下に降りていきました。

だってガイドさんに何か聞くとパンフレットに書いてあるよ! と説明してくれないんだもん。

 
修復している2階の大広間の所に行くと、修復中と聞いていたので、ステンドグラスがあった現場はガラス部分がポッカリあいているとか、足場が組んであるとか、と想像していたのに、ガラスに実物大の写真フィルムが貼ってある! 春先に行ったトルコのモスクも修復中で足場や囲いがしてあって、おもいっきり”修復中モード”だった。だけど、その方が自然。シールを貼ってあるのには興ざめした。ステンドグラス屋としてフィルムのステンドグラスに以前から嫌悪感を抱いていたせいかもしれない。現に、後ろにいたおばさん達が興味深めにズンズン押してくるではないか! おっ、おさないでくれ〜!

 
でもまぁ、その場にいたガイドさんはステンドグラスを詳しく説明をしてくれましたのでよかったかな? このステンドグラスは3点セットで、左側のパネルは日本の陸上交通、右側は海上交通を描いた絵で、中央の扉上には鳳凰が描かれています。宇野沢組ステンドグラス製作所が制作したもので、関東大震災で焼失後、1927年に復元したものです。原画は外国人が描いたということで、服装や髪形、帽子、季節の花に日本人ならしない間違いが多く見られました。

 


 
このように別の大窓には、ポーハタン号が横浜を出港する風景を表わしたステンドグラスがあります。こちらは、数年前に既に修復を終えていました。

どちらのパネルも、アメリカから新しい手法を持ち帰ったばかり、ココモ(米国のガラスメーカー)が多く使われていました。

 


 

さぁ、早く地下に行こうよ!
(この続きは次回のお楽しみ〜)


 

11月19日に見学ツアー企画予定。興味をもたれた方はお申し込みください。(当工房の生徒さん限定・当日、教室は臨時休業となりますので、ご注意ください!)

私が修復した時のHow Toビデオ(DVD)もありますので、見たい方はお申し出くださーい!

| コメント(2)

この記事へのコメント

 [無題]

この後姿は・・・
<(゜ロ゜;)>ノォオオオオオ!!

 えー?

チョッとチョッと、前の人。パネルが見えないんですけどぉ。
なんてネ。言われなければ気にならなかったのにねー。

第28回 びどりを作品展 - 写真6
第28回 びどりを作品展 - 写真7