教会のステンドグラスの修復終了
この夏、当工房では大きな教会のステンドグラスの修復作業をしていました。
東京 高円寺にある 「カトリック高円寺教会」 のステンドグラスです。
今年8月から始まって、本日、やっと修復作業が終わりました。
下の写真は、修復前の写真です。
この教会には大聖堂と小聖堂があるのですが、こちらは大聖堂。
祭壇から見て左側の写真です。
こちらは祭壇から見て右側。
窓には、聖書の逸話がテーマになったステンドグラスが入っています。
上の写真以外の窓にもステンドグラスが入っています。
見事なステンドグラスです。
日本でこれだけ多くのステンドグラスが入っている教会は稀でしょう。
グーテンベルクが印刷機を発明し、15Cに聖書を印刷できるようになるまでは、ステンドグラスの絵そのものが聖書だった歴史があります。
幼い子や読み書きのできない方々にとっても、絵は聖書と同じ役割で心に響いている。
そんな心情を察すると、傷みました → 取り替えましょう、捨てましょう という事にはできないのです。
当てガラスがなく、30年弱経っているので、かなりステンドグラスの劣化が始まっていました。
しかし、これだけのステンドグラスを3ヵ月で修復…
大窓が8ヵ所、窓が4ヵ所、計12ヵ所の窓を、3ヵ月で修復…
300o×300o角ほどの大きさのパネルが450枚ほどある… これを、3ヵ月で修復…
いやいや、足場の撤去までには、2ヵ月半。実質、2ヵ月半!!!
およそ2年かけ、検討に検討を重ね、ステンドグラス修復の方針が決まりました。
7月には、耐震補強工事のために聖堂内外に足場が組まれ、工事が始まりました。
その工事の工期内にステンドグラスの補修作業もしなくてはなりません!
さっそく、チームを組んでとりかかることに!!!
聖堂内部の足場。
こうして、高橋講師は、この養生幕の向こう側が、この夏の仕事場になりました。
工房で見かけないなぁ、と思っていた方はいらっしゃいませんか?
ちゃんと、ここで働いていました!
「安全で安心な祈りの場を!」 という、教会様の熱意にこたえるべく、頑張って修復作業をすることになりました。
次回以降のブログで、このステンドグラス修復の模様をお伝えしようと思います。
[無題]
当てガラスとはなんでしょうか?
[無題]
お疲れさまでした!!
よくぞ倒れずに、今ここに、このレポートを載せ、みんなに報告出来る日を、どんなにかご本人も待ちわびたことでしょうねっ!!
私たちもこの日を待っていましたよ〜!
お疲れ様でした。
もう怖いものなしですね、でもあんまり強くなりすぎると教室でちょっと怖い・・・劣等生より
蜘蛛さんへ
蜘蛛さん、コメントありがとうございます。
通常、ステンドグラスを窓に取り付ける際、外側にフロートガラスを当てがって取り付け、雨ざらしにすることはありません。
ステンドグラス用のガラスはフロートガラスより酸性雨・空気汚染などに対して酸化しやすいガラスですし、ステンドグラスを組み立てている鉛線も酸化するからです。
酸化して劣化するのを遅らせるためにあてがうフロートガラスの事を「当てガラス」と呼んでいます。
※ フロートガラスとは、いわゆる透明な窓ガラスのような工業ガラスのことをいいます。
esseさん
esseさんこそ、お帰りなさい!
ローマ〜フランスから無事帰国されましたか? よくぞ、ご無事で!
私、高橋は、休むと病気になってしまう「回遊魚」のような体質ですし、ビールがある限り倒れはしません。大丈夫です。
でも、夏の間ずっと、夕方、現場から工房に帰ってきても、皆さんに背を向けて、修復作業をしたり、パソコンで書類を作っていたりしていて、ろくろく会話にも加われずご心配をおかけしました。
皆さんのいたわりは、背中から感じ取っていましたよ!
[無題]
初コメントです。よろしくお願いします。(ブログ村から来ました)
ステンドグラスの修復、とても興味深いです!大きな窓ガラスをどう修復していったのか気になります。
続きを楽しみにしています♪
[無題]
ありがとうございました。
ゆたきちさん
初コメントありがとうございます。
ステンドグラスを日本で制作するようになって、100年になります。
ステンドグラスは修復して維持していくものであるという文化が、まだ日本に根付いていないので、多くのステンドグラスが捨てられてしまっています。
ステンドグラスの維持の仕方を伝えていくことも、我々ステンドグラス屋のミッションです。
ですから、修復に興味がある方が増えていくといいな、と思います。
がんばってブログを更新しますね。
[無題]
本当に本当にお疲れ様でした。
いろいろな意味でドキドキしながら&かみしめながら
(でもいろいろな人の顔を思い浮かべてちょっとニヤニヤしながら)
修復レポを拝読させていただきます。