修復の二年前…
前回からお伝えしているステンドグラス修復の一歩は、下見と調査からはじまりました。(2011年秋)
通常は、窓から取り外したステンドグラスが工房に届いて、それを修復して現場に送り返す事が多いのですが、今回は、修復を提案するところから始まりました。
上の写真は、身廊の左右のステンドグラスです。
この教会は祭壇が西側にあります。
左の写真は、1949年 完成の大聖堂です。
その当時の教会建築としては、かなり大きいのではないでしょうか?
工事で、まず気になるのが足場!
身廊の北側が…
ふむ、ふむ。
狭い。
ここに足場を立てるのか・・・
足場は耐震補強の工事の足場を使わせていただくことになった。
問題が一つクリア!
だけど、この窓のガラスは白パテで施工されている。
(1987年 ステンドグラス完成だそうです。)
この工事の一番のネックはこの 「白パテ」 。
重要文化財などは、改修工事の際、再び白パテで施工されますが、いまどき職人さんが見つかるのか…
試しにステンドグラスを外してみます。
コンコン、コンコン。コツコツ、コツコツ。
刃先が2o以上の厚みのあるものだと割れてしまうので、薄っぺらいノミで、はつってみます。
コンコン、コンコン。コツコツ、コツコツ。
下の写真は小聖堂のステンドグラス窓です。
このようにシリコンでシーリングされているガラスは簡単に取れるのですが…
コンコン、コンコン。コツコツ、コツコツ。
カチカチに固まっている白パテを、ステンドグラスを割らずに取り外すには、時間がかかります。
「ステンドグラスを割らずに!」 というところがポイントです。
コンコン、コンコン。コツコツ、コツコツ。
やっと、1枚目がとれた!
しかし、窓枠についた白パテを落とさなくては。
結局、1枚に小一時間。
およそ300o×300oの窓が、450枚もあるというのに…
1枚に小一時間もかかっていたら・・・ 気が遠くなります。
大窓は上の二段の3か所は、写真に映っているロープを引いてガッコンと開閉するようになっていました。
下の二段の3か所は、手で押し出したり、戻したりする滑り出し窓になっていました。
どの窓も、サッシがゆがんできているので、閉める時はガッコンと力を入れないと閉まらないようになっていて…
残念ながら、ステンドグラスが傷む原因の一つになってしまいました。
さて、さて、どうやって修復しましょうか・・・
こわいわ〜
猛暑の中お疲れ様でした。修復後の教会見たいですね。
それにしても、窓を閉める時のガッコンて想像しただけでも恐いわぁ〜
ひめこさんへ
そうなんです。「ガッコン」と閉めているのを見た時、「ひぇ〜」と、思わず手で目を覆ってしまいました。
開閉の振動もよくないですが、
「長期間、斜めの状態にしておく」のもよろしくないです。
前回のブログの写真に上の窓が開いている写真がありますね。このように斜めの状態にしておくのも反りの原因になります。
ステンドグラスパネルを立てかけておいて反ってしまった、という方も多いはず。垂直にしておくことができない場合は補強をいれなくてはなりませんね。
猫の手ですが
窓枠の白パテ落し、手伝いたいかも。
猫の手
猫の手 欲しかったかも。