ステンドグラスの修復
さて、さて、 教会のステンドグラスの修復 のレポートを 11/5 からお伝えしていて、やっとステンドグラスの修復のところまで来ました。
実際、修復方針の決定と取り外しまでが長かったのですが、ステンドグラスの修復も一番時間のかかる作業なので、現場で、「斫り」 や 「養生」 をしている間も、修復チームは着々と作業をしていました。
しかし、時は9月中旬。
9月中旬は一年で一番忙しい時期。
よりによって仕事が9月に集中してしまった…
「忙しい時に忙しい仕事が重なる…」 これ、なんという法則だろう?
ステンドグラスの修復は、
「腐食して薄くなったガラスを新しいガラスで切り直して、オリジナルと同じように絵を描いて焼き付けて、新しい鉛線で組み直して…」
というのが、「修復」ですが、今回は、
割れている箇所だけ、新しいガラスに取り換え、ほとんどのガラスはそのまま使えたのでよかったです。
2年後だったら、おそらく現存のガラスは酸化が進み、使えなかったと思われます。
ステンドグラスの修復過程をご紹介しましょう。
この窓は、左の写真ではわかりにくいですが、内側に向けて大きく反りかえり、あちこちが割れていました。
何かがぶつかったのでしょうか・・・ 激しく割れていました。
ギザギザを描いてテープを貼ったところが、割れていた箇所です。
このパネルは、このほかにも、あちこち割れていました。
ガラスを組み上げている鉛線からガラスを外し、すべて解体する。
バラバラに解体したガラスを並べます。
今回の修復は、
「割れている部分のガラスのみ、切り直す」
ことにしました。
割れたガラスと同じ色、同じ風合いのガラスを探して、ガラスをカットします。
この教会のステンドグラスは、高価なアンティークガラス (アンティークな手法で作られたガラス) がふんだんに使われています。
既に、廃番になっているガラスもありますが、世界には、ドイツのランバーツ社やフランスのサン・ゴバン社などのように、手吹きでアンティークガラスを生産している会社がありますので、同じような色合いのガラスは入手できます。
オリジナルと同じ色のグリザイユ(絵の具)で、同じように絵を描きます。
絵を描いたガラスを、窯で600度ほどで焼き付けます。
一昼夜たって、窯が冷えたら取り出して並べます。
違和感なく焼成できたか確認し、違和感があれば、もう一度描き足してまた窯に入れて焼成します。
鉛線は、幅が5mm、10mmというように多くの種類があります。
オリジナルと同じ太さの新しい鉛線で、ガラスを組み上げ、半田付けをします。
ガラスと鉛線の間にパテを詰めて、馬ブラシで磨き、出来上がり。
もともと、ステンドグラスは修復しながら維持していくことを前提に作られています。
鉛線が古くなって、ガラスを支える力がなくなる前に、このようにして、鉛線を取りかえれば維持していくことができます。
下の窓に、ステンドグラスを取り付ける際、外側には、当てガラス (フロート3mm) をあてがって取り付けました。
※ 当てガラスに関しては、11/5付けのブログのコメント欄 をご参照ください。
・・・と、まぁ、一枚を直すのに、これだけの手間がかかります。
大変でしたねー
修復って更から作るよりずっと難しいですね!本当にご苦労さまでした。
素敵なステンドグラスの窓がたくさんあって、それを修復されていることはお伺いしておりましたし、お会いする度に本当によれよれになられていることは、拝見していてよーくわかりました。でも、やったという達成感がおわりになられたことでしょう!勝手な願いですが、是非一度修復された教会のステンドグラスを拝見したいですね!よろしく
Re: 大変でしたねー
HFさん、ありがとうございます。
カトリック 高円寺教会は、HFさんの家から自転車でもいける距離ですよ?
ローマでもヴェネチアでも突撃?ミサに出てるのですから、大丈夫!
今度、お連れします。
※ 工房から自転車で通おうかと思ったこともあるのですが、帰りは “よれよれ” でしたので、中央線各駅で通って正解でした。