教会のステンドグラスの修復レポートの終了
11/5からレポートして参りました、カトリック高円寺教会 には、8つの大窓と、4つの窓とで、合計12のステンドグラス窓があります。およそ300o角に分割されたパネルの数にすると、450箇所ほどあります。
一つの大窓でパネルが49枚あるわけですから、本来は、これだけの数ですと、一つの窓を集中的に直して、完成したら次の窓へ・・・ と順次、足場を移動して修復していきたいところです。
しかし、諸事情により、早く 「安全な聖堂」 にするために、全体的に補修作業をすることになりました。
全体的にといっても450箇所です。
これを一度には直せないので、とりあえず一部 (三連の窓の左右の部分) は取り外すことになりました。一番、傷みが激しく、ガラスが飛び出したりしている部分だったからです。
そして、これらを窓に戻すまで、一時 「保管しておく」 ことになりました。
下の写真は、工事前の南側の窓。
しかし、三連の窓の中央の部分だけ、といっても222箇所あります。
そこで、この222箇所のうち、傷みが激しいものは修復して窓に戻し、ヒビなども直しました。そして、ステンドグラスの劣化を少しでも遅らせるため、ステンドグラスに当てガラスを当てて窓枠に取り付けました。
222箇所です。222箇所。
↑ 修理するステンドグラスを取り外し…
取り外した箇所を養生してふさぎ・・・↑
↓ 保管する三連の窓の左右の部分も取り外し、代わりにカスミガラスを入れ…
←修理したステンドグラスを窓に戻し・・・
当てガラスをあてて、シリコンでコーキング。
短期間に施工しなくてはならず、施主様も工房側も、非常に苦労した修復でしたが、綺麗に仕上がりました。
「保管」 した、三連の窓の左右の部分の、228箇所を窓に戻す時期は未定です。
しかし、聖書の逸話を語りかけている窓なので、簡単に捨てるという決断はできません。
教会の内陣の階下でとりあえず保管し、いずれ聖堂に戻すという方法を選択していただきました。諸事情を考えると、苦渋のご決断だったと思いますが、聖書の逸話のステンドグラスを守った・・・ と言えるのではないでしょうか。
入口から見ると…
メインの工事である耐震補強工事も同時に終わり、このような聖堂になりました。
耐震補強工事の短い工程の中に、急遽組み込むことになりましたので、現場の皆様には大変ご迷惑をおかけいたしました。
しかし、とても協力をしていただき、大変感謝しております。ありがとうございました。
ステンドグラス窓は、「足場業者」、「斫り業者」、「サッシ業者」、「塗装業者」、「ステンドグラス業者」、「ガラス業者」、「シール業者」…
と多くの職人さんの 「心意気」 と 「手」 で、無事に補修工事を終了いたしました。ありがとうございました。
以前の豪華なステンドグラス窓をご存じの方には、質素になった、さびしくなった… と思う方も多いかもしれません。しかし、将来的にステンドグラス窓を守るために、こうして多くの心と手が加わったことを、覚えておいてくださると嬉しく思います。
今回は、一部の補修にとどまりましたので、今後、定期的に補修を重ねて維持していくお手伝いをさせていただきたいと思っています。
※ 修復に関しての、さまざまなご質問は工房でお受けしています。
※ ステンドグラスの修復は、師範科のカリキュラムに入っていますので、興味のある方は受講してみてください。