聖シュテファン教会-被せガラス
聖シュテファン教会のレポートの続きで、今日は、被せ(きせ)ガラス(フラッシュガラス)について一言。
聖シュテファン教会のステンドグラスには、ジャック・シモンスタジオのジャック・シモン、ブリジット・シモンらが制作にたずさわりました。また、ジャック・シモンスタジオのシャルル・マルクは、マルク・シャガールと20年以上親交のあるアーティストでした。シャルル・マルクはマルク・シャガールと同じ技法で描くことができました。
聖シュテファン教会のステンドグラスは、シャガールの他のステンドグラスにも見られるように、被せ(きせ)ガラス(フラッシュガラス)を使い、青い部分を酸で抜いてグラデーションを出しています。
※ 通常、被せ部分を抜くのには酸に浸して抜くのですが、きちんとした換気施設がないと使えない危険な薬品なので、教室ではサンドブラストを使って被せ部分を抜いています。
例えば、クリア(透明)にブルーが被せてあるガラスの場合、ブルーを酸で抜くとクリア(透
明)になりますが、サンドブラストで抜くとすりガラス状態で曇りガラスのようになります。
さて、被せガラス(フラッシュガラス)は、クリアにブルー、うすピンクにブルー、イエローにブルー、イエローにレッド、ブルーにレッド… などいろいろな種類がありますが、聖シュテファン教会のステンドグラスは、クリア(透明)にブルーが被せてある、被せガラス(フラッシュガラス)をたくさん使っていました。前述のシャルル・マルクは、15世紀によく使われていた被せガラスを復活させて作ったそうです。
北側の側廊には10種類の青いガラスを、南側の側廊には8種類の青いガラスを使っているそうです。
そういえば、こちら側は少し紫いろっぽく、こちら側は緑色っぽいガラスが混じっている??
? ん? と右向いたり、左向いたり、キョロキョロした覚えがあります。南北どちらも同じようなデザインなのに、ちょっと雰囲気が違いましたよね。何種類使っているかまでは数えませんでしたけど…
その日は小雨振るうす暗い日でしたが、晴れた日や午前中だったらまた他の色に見えたんだろうな… それが、ステンドグラスの魅力ですよね。
そして、袖廊には、なんと18種類の青いガラスを使っているそうです。クリアにブルーの被せガラスと言っても何色もあるのですよね。もちろん被せガラス以外の単色のガラスも使っていますが。
「どこが酸抜きしているところ?」 と言ってる方へ:
鉛線で囲まれた一枚のガラスを見て、
・一枚の中に青い部分と青くない部分がある
・一枚の中に青からクリアで徐々にグラデーションがある
・一枚が単なる一色でなく、ムラがある、ニュアンスがある
極端に言えば、そのような場合は酸抜きしています。
(絵付けでニュアンスをつけることもあるのですが、この教会の場合は、グリザイユで線描きはしているけど、グリザイユで影をつけてはいないようでした。)
ステンドグラスのガラスの中でもブルーは本当に種類が多いですが、しかし、18種類ね。次回は、この袖廊の話の続きします。